静寂。
それは、とても心休まる、贅沢な時間ではないでしょうか。

毎年、雛祭りの日
福智園での、御利用者の皆さまへのおもてなしは、
静寂のひとときです。

雛人形の飾られたホールの小上がりは、
今日は、お茶室です。

茶釜の炭に火が入り、

湯気が静かに上がり始めました。

スタッフが披露するお点前に、

御利用者の皆さまは、静かに見入っておられます。

ちゃらちゃらと、柄杓からこぼれる湯の音さえ聞こえる静かさが、
空間を包み、

皆さま、とても穏やかな、
しかし、厳粛な空気を感じ取ってか、少し緊張もしたような、
しゃんとした表情を浮かべておられます。

茶席につくと、
まずは、お好きな和菓子を選んでいただき、

お点前を見ながら、お茶を待っていただきます。

クロモジの楊枝を使って、
和菓子を丁寧に、ゆっくりと、召し上がっておられました。

せっかくのお茶会です。
ご本人の希望もあり、いつもは車イスの御利用者さまも、

スタッフが介助して、
緋毛氈に座っていただきました。

お茶が運ばれると、しっかり器を抱え、

穏やかな笑みを浮かべられて、

大事そうに、ゆっくりと口に運ばれる御利用者さま。

毎年恒例の、雛祭りの福智園茶会。
今年も皆さまに、いつもの日常とは少し違う、
静寂のひと時を、楽しんでいただくことができたようです。
—–
